顔料とは染料とは

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ナカガワ胡粉絵具株式会社岩絵の具製造方法http://nakagawa-gofun.co.jp/index.html

【染料・顔料の話】

わかりやすい、ここを全部読もう▶︎雑科学ノート 染料・顔料の話

一部抜粋〜〜

色の鮮やかさ、という点でも、染料の方が有利です。染料では分子1個1個が光を吸収しますから、発色の効率がよいのです。また顔料の場合には、粒子の表面で光を乱反射することがあります。この乱反射が起こると、全体に白っぽく見えるようになりますから、スリガラスをかけたように色がくすんでしまう傾向が出て来るのです。さらに、インクジェットプリンターの写真印刷用光沢紙などに印刷する場合、染料ならば内部に浸み込むので表面の光沢が活きますが、顔料では表面に塊が乗ってしまって粗くなり、光沢が失われてしまう、という欠点もあります。
こうして特長を並べると、どうも顔料の分が悪いようですが、顔料には染料にはない決定的な長所があります。色褪せを起こしにくいのです。染料や顔料はその特殊な分子構造や結晶構造によって特有の色を出しているわけですから、構造が何らかの原因で壊れてしまうと、本来の色を失ってしまいます。染料の場合、分子が1個1個バラバラになっていますから、分子が壊れると、その部分の色はなくなってしまうのです。これに対して顔料は、色素の分子が集まって塊を作っていますから、表面の一部の分子が壊れても、まだまだ下に新手の分子が残っています。普段発色に貢献している分子は外側の一部分だけで効率は悪いのですが、いざとなればそれまでサボッていた内側の分子が働いてくれるわけです。特に無機の顔料は、日常的な条件で構造が壊れること自体がほとんどありませんから、それこそ何千年、何万年と元の色を保ち続ける場合もあるのです。
それでは、分子の構造を壊す何らかの原因とは何でしょうか。その一番手は、何と言っても紫外線でしょう。太陽光線は言うまでもなく、人工的な明かりにも、紫外線を含むものは多数あります。この紫外線を吸収すると、色素分子の電子のエネルギーが励起状態に飛び上がります。これがそのまま元の状態に落ちてくれればいいのですが、その途中で分子内の化学結合を切ってしまう場合があるのです。色素ですから可視光線を吸収するのは当然ですが、余計な紫外線まで吸収してしまうと、このようにして自分自身を壊すことにつながるのです。特に赤系の色素では、紫外線の影響は甚大です。赤い色を出すということは、その補色である青系の光をよく吸収する、ということを意味します。つまり波長の短い光を吸収しやすい性質を本質的に持っているわけで、当然、紫外線も吸収しやすいのです。よく屋外の看板などで、強調するためにわざわざ赤色で書いた文字だけがキレイサッパリ消え失せて、訳がわからなくなっているのを見ることがありますね。これなどは正に、赤の色素が紫外線を吸収して壊れてしまった結果なのです。
反応性の高いガスも染料にとっては大敵です。以前にコピー機などからよく発生していたオゾン、石油ファンヒーターや車の排ガスなどに含まれる窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)などがその例で、色素の分子と反応して色褪せを起こしてしまいます。また、空気中の酸素が紫外線の影響で活性な状態に変化して、これが色素の分子と反応する、ということも知られています。染料にとってはやっかいな物が、身の回りにはけっこうたくさんあるのです。
顔料のもう一つの長所として、滲みが少ない、ということがあります。乾いた後の水濡れに強い、ということもあるのですが、それだけではありません。染料は溶媒に溶けて浸透するので、図柄を印刷する場合などに、色の境目で隣の領域に染み出す、ということがよく起こります。しかし顔料では、粒子が遠くまで移動して行きませんから染み出しが少なく、境目がシャープになるのです。この特徴は、よりクッキリ感が重視される文字の印刷では特に活かされます。インクジェットプリンターでは2種類の黒インクを備えている機種が多いですが、このうち一方は染料インク、もう一方は顔料インクです。写真印刷用には光沢感のある染料インク、文字印刷にはクッキリ感のある顔料インク、というように使い分けているのです。

【沖縄紅型の彩色のこと 顔料と染料】

模様の彩色には主に顔料を用い、顔料の上から染料を重ねたり、染料に顔料 を重ねたりしながら彩色をし、その後朱色以外の模様に隈取りを施し模様に立 体感を与えた。紅型では季節に関係なく春を現す桜に冬の梅、秋の楓の紅葉、雪輪など春夏 秋冬の模様が同時に存在することも大きな特徴で、うっそうと樹木の茂った緑 濃い首里では楽園を思わせたことだろう。模様も中国、日本の柄がほとんどで 龍、鳳凰などは王子・王妃にしか許されず、身分の高いものほど大きな模様 で老人は小さい模様を着用した。

材料は自国でとれた福木、琉球藍などの他、 主に中国から取り寄せた顔料・染料が使われほとんどの色料を中国に頼ってい ることから、当時の琉球と中国との密接な関係がうかがえる。

紅型の衣裳に植物染料だけでなく絵画に使われる顔料を用いたのは、沖縄の 強い日射しの中、褪色せず遠くからでもわかる大きな模様を身分の高い人物が 着るという(日本の鮫小紋などの手が込んだ細かな細工が高級とされた文化と 違って)衣服でありながら「着る」というより「見せる」絵画として、観賞さ れるべきものとしての表現を持つ、独自のおおらかな自然美を表したかたちに なっていったと考えられるのではないか。また、琉球で多様な織物が存在していた ことにより、紅型が現在まで華やかさを失うことなく伝えられた一因とも考えられる。

引用元:琉球の染織に関する基礎知識|貴重資料デジタル書庫・デジタルアーカイブ

*本土で、紺屋の紺が色の総称として使われたように紅型(明治以前はカタチキ=型付けの意などと呼ばれていた)の紅も色の総称であった。紅型に欠かせない赤い色は特に紫外線に弱いので顔料である必要があった。赤にはベンガラとかコチニールとか。通常このコチニールは国内では手に入りにくい物だが、昔から交易の盛んな琉球にはこの材料が中国経由で手に入ったらしい。

【土の色のこと】

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顔料にはその組成から、無機顔料と有機顔料の2種類に大別される。無機顔料は、有史以前から使われていた鉱物の加工品である天然無機顔料と、化学的に合成された合成無機顔料に区別可能である。有機顔料は、藍玉のように植物から採った不溶性を示す染料前駆体をそのまま顔料として使用するものと、植物や動物から抽出される染料をレーキ化させたものが古くからある。現在工業的に使われているものの大半は石油工業によって成立する合成有機顔料である。合成有機顔料には化学構造自体が不溶性を示すもの(不溶性色素)と、水溶性の合成染料を不溶化させたレーキ顔料(lake, lake pigment)がある。

出典Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=顔料&oldid=58791177

この前土から取り出した色は『有史以前から使われていた鉱物の加工品である天然無機顔料』ということですね。
この前の実験は顔料として『紙や布に色を塗る』ものでしたから浸ける時間もすごく短く、洗うこともしなかったのです。呉汁で伸ばした色液に木綿の布を浸したときすごい速さで色を吸収したことと、その後ティッシュに挟んで水分を搾り取ったときもティッシュについた色は少しだったので、きっと落ちないだろうとは思っていましたが、念のため呉汁定着の意味でスチームアイロンで蒸しらしき工程をして布を半分に切り石鹸でモミモミと洗ってみました。半分に切った下が洗い終えたものですが、ほとんど色は落ちていないです。

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黄土色(おうどいろ)は、色のひとつ。黄土色の黄土自体は、ありふれた帯黄の土であり、様々な場所で見受けられる。この色を黄土色と呼ぶ。黄褐色、ラクダ色(キャメル)も同様の色を指す。

ピグメント・顔料、絵画用顔料の含水酸化鉄を主要顕色成分とする土壌由来の「黄土色」を呈する顔料、日本画で用いる顔料である天然岩絵具の「黄土」は黄土原鉱から作られる。 同様の色を英語でocherといい、日本語の外来語でオーカーと言う。しかし、ocherは彩度が高く明るいyellow ocherや、赤いred ocherなど幅広い色を含める広義の概念であり、黄土色のみを指すのではない[1]。

シェンナ (sienna) は、水和酸化鉄を主成分とし、ケイ酸コロイドと少量のマンガンを含む天然の土を原料とする、やや黒味を帯びた黄褐色の顔料。人類が最も古くから用いた天然顔料の1種であり、洞窟の壁画などにも見られる。

焼いていないものはローシェンナ (raw sienna) と呼ばれ、黄味の強い色をしている。焼いたものはバーントシェンナ (burnt siennna) と呼ばれる酸化第二鉄を主成分とした赤褐色の顔料として用いられる。

【顔料という名称は文字通り顔などに塗っていたから】

つい最近『地球イチバン 世界一ナチュラルファッションを楽しむ人々』という番組を見た。エチオピアの少数民族。赤い石を粉にして化粧に使うのだけど拾ってきた石を粉にする前に熾火(おきび)のある灰の中に埋めておく、そうすると朝には石がより赤くなっているという。それを石ですりつぶして髪の毛を固めたり顔や体の化粧に使う。

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なぜこのまとめを書こうと思ったか、染色業界では染料が上等で顔料は安物という意識がなんとなくあるような気がしたから。でも顔料の知識があまりないことに気がつき調べることにした。いい勉強になりました。

ただ心残りは、上布の海晒しは、北の地域の雪晒しと同じような意味合いで行われているけれど紅型の海晒しはどこかで見た記憶があったけれど見つからないのです。「顔料が鮮やかになる」と昔何かで見た記憶があったのだけれど。。対比する地色が白く上がることで綺麗に見えるってことだったのだろうか。。もう少し調べてみます。

【その他メモ】

*静岡の影山工房さん機織り職人の仕事場からー「顔料染め」の記事 美しい仕事です。

*伝統的な手作りの鯉のぼりは、江戸時代から使われている、豆汁(ごじる)によって紫外線から守られていた。より(http://www.ntv.co.jp/megaten/archive/library/date/08/05/0504.html

50年前の全長9mもある巨大鯉のぼりを見せてもらうと、なぜか50年間毎年外に揚げているのに日焼けで変色せずに新品と色が変わりませんでした。これはなぜでしょう?そこで、手作り鯉のぼりと一般的なナイロン製の鯉のぼりを日焼けマシンに入れ、黒い部分がどのくらい変色して青くなるのか調べてみました。黒い部分が日焼けすると、紫外線の影響で、黒の色素が青に変色します。マシンで焼くこと2時間、特殊な機械で測定してみると、ナイロン製に比べて手作り鯉のぼりの変色はわずか4分の1以下だったのです。でもなぜ、手作りの鯉のぼりは日焼けしにくいのでしょうか?その秘密は昔から使われている天然の材料にありました。実は、生の大豆の粉を水で溶いた「豆汁」(ごじる)と呼ばれる汁が、鯉のぼりを日焼けから守っていたのです。豆汁を塗ると、大豆に含まれる脂質の一種「レシチン」が紫外線を熱に代えて逃がすので変色が起こりにくくなります。このレシチンという成分は日焼け止めクリームにも使われています。