山苧(やまお、野からむし、やぶまお)

 

「空き地の草を刈らせてください」とお願いして山苧を少し刈って来た。「やまお」は山の苧(お)か薮麻苧(やぶまお)からかよくわからないけれどこの辺ではそう呼ぶ。で、80歳くらいのひとは、秋、稲刈りが終わった頃山に入り、がっしりと丈夫になった頃刈ったものだと言う。物が無かった戦時中のこと。

まだまだ大きくはなっていないのだけれど、そろそろ町の道路パトロールがやって来る頃だから。草刈り機で ”チャイン” と無惨に刈られてしまう前に。とりあえず道沿いを一列収穫してみた。一列と言っても結構な本数が有る。一日で苧引きが出来る量にと思うけれどついついたくさんになって葉をこそげるのも一苦労。栽培ものの5分の1にもなるかどうかわからないほどだけれど手間は同じ。それでもこの季節には、道ばたの山苧の事で頭がいっぱいになる。

Wikipedia カラムシより

今でこそしつこい雑草として嫌われる場合もあるが、茎の皮からは衣類、紙、さらには漁網にまで利用できる丈夫な靭皮繊維が取れるため、分布域では6000年前から栽培されてきた。このため日本に自生するカラムシは、繊維用に有史以前から栽培されてきたものが野生化した、史前帰化植物であった可能性が指摘されている。『日本書紀』持統天皇7年(693年)条によれば、天皇が詔を発して役人が民に栽培を奨励すべき草木の一つとして「紵(カラムシ)」が挙げられている。

6000年も前から栽培されていたなんて考えるだけでぞくぞくする。多分それが野生化したものなのだろうと考えると、化石を見つけるのと同じくらいどきどきする。

くずぬいて、根もとをつかみ鎌で刈る。ふと見上げると、葉の裏にこんな毛虫がぶらぶらぶら下がっていた。ぶいぶい,ぷるぷる、ブルブルブルと頭を振って威嚇をする。延々と振っているので,申し訳なくなり、ごめんごめんと謝ってみたが。。残りを刈り取る前に蝶になっててくれないだろうか。。一抱え持ち帰った中に5匹ほど連れ帰っていたのは竹やぶのそばの山苧に乗せておいた。

名前が解らなかったので「赤い足の毛虫」と検索したらすぐ出て来た。すごい。