散歩

ヤシャブシ 

久しぶりに犬と一緒に遠出する。あぜ道には、早々とちいさな土筆が顔を出している。今日はいつもとちがう道を行く。広々とした耕地に早春の風が駆けてゆく。真ん中の背の高い草がそよいでいる一区画に何やら不思議なかたちの物が見える。雪解けすぐでぬかるんだあぜ道に足を取られながら近づくと、蒲の穂が綿毛を飛ばしている最中だった。ああ、蒲の穂も綿毛を飛ばすんだ。。。それも大量だ。あの、きりたんぽの形の茶色のかっちりした塊が上の方からふわふわの綿毛になって、春の風に飛ばされていた。犬の冬毛が抜ける途中のように無惨な姿なのだけど、珍しがって一本手折るも、持ち帰るのは止めにした。綿毛は近隣の田んぼのあちこちに種を落としていた。農家の人に取っては厄介な種だろうな。珍しがって喜んでいる場合ではないぞと。

農道に戻り山の斜面を見ながら歩くとヤシャブシに新芽が出ているのを見つけた。去年の実がついたままだ。斜面をよじ上り少しばかり取ってみた。物欲しそうに、首が痛くなるほどのけぞって眺めていたが、今取れば新しい芽を傷めてしまう。今年の秋は、ここで必ず採取しようと思う。