織の道具 たたり

絡まった綛糸を直すのに使う。絡まった綛糸はあせって強く引っ張ったりするとよけいややこしくからまってしまう。この3本の棒に絡まった綛をピンと掛けて置き糸端(わからなければどこか切る)を上方、天井などに吊るした竿やフックに引っ掛けてゆっくり引っ張ると不思議な事に絡んでいた糸が、するすると出てくる。あとは気長にタマ巻にしたり,また綛に戻したり。
至ってシンプルな仕掛けなのだけど、不思議と絡まった糸がするするとほぐれてくる。なぜ「たたり」なんて物騒な名前がついているんだろう。祟りとはちがうのかもしれないが、織るということは、神様とつながっている行為だったようだからもしかすると祟りと関係があるのかもしれない。祟りを調べるタタリの語は神の顕現を表わす「立ち有り」が転訛したものといわれる とある。糸が絡まる事は祟られているからで、その祟りを鎮める為に立ち有る

ちなみに、私は今日ずっとこれにおせわになっていた。たたりは持って無かったので五光の足などに太めの丸筒を差し込んで代用していた。

追記
改めて、作業を継続しながら考えた。(どんだけからまっているのだ)名前の由来は糸を扱う者にしか解らないだろうな。もっと滑らかな言い方をすると、

「泣きたくなるほど絡まってしまった糸綛が、神業のようにするすると解けてゆく。」