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田舎路

 仕事始めの日の午前10時頃、村にはほとんど人影もなくひっそりとしている。今日は珍しく良く晴れた。路の雪もすっかり消えている。とは言え日陰に入るとまだまだ寒い。年寄りはきっと家の中で「こたつのもうり」をしているとおもうのだけれど、家々の扉はきっちり鍵がかけられている。田舎では日中はほとんど鍵などかけなかったけれど、今頃は、老人を狙った物騒な事が多くて、日中でも鍵をかけているうちが多い。

今年の配札は、子供たちは頼まず、何年かぶりに私も一緒に歩く事になった。数日こもりっきりだったから外の空気が心地いい。午後3時頃になると散歩をする人の姿が見え始めた。向こうからやって来るのは昔なじみのおじさんだ。こんにちわ、おめでとうございます。お久しぶりですね。と、挨拶をする。以前なら、冗談のひとつも掛けてくれたのだけど、数年会わないうちにすっかり年を取られていた。ゆっくりと散歩道を歩いてゆく後ろ姿を、ずっと見つめていた。

 
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