なぜ染めるのか

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いつも迷う事が有る。濃色処理するかどうか。そもそも濃色処理とは。。。自然染めをしていると濃い色に染めたい時もなるべく自然のものを使いたくなる。草や木の染めというのは、動物繊維のシルクやウールがよく染まり、植物繊維には染まりにくい。この場合、「豆汁下地」をされるのだけど、どうも違和感が有る。「豆汁下地」というのは大豆たんぱくを表面に付着させる事で、表面に付着したタンパク質の効果で、シルクやウールが染まるに似せたもの。中から変わるのではなくて表面だけのものと云うのがしっくり来ない。ならばそのままで良いじゃない、とも考える。

科学的に作られた濃色処理剤は何なのだろう。早速、田中直染料店に問い合わせる。植物染料用濃色処理材 KLC-N は、「無色の染め」のようなものにより、繊維の中に電子を作り染着を良くしているのだそうだ。ということは、草木染めの前に化学染めしているようなもので、草木染めとは言えなくなる。どうするかな。。。ついでにこんな質問をしてみた「オーガニックコットンなんかは、そういった化学染めをすると、オーガニックではなくなるのですね?」すると、「化学染めに限らず、そもそも、媒染剤などを使う植物染めにしても、染めると云う行為はすでにオーガニックの枠から外れているとも言えるんです。」

さて、いろいろ考えてみると、タンニン下地と云うのが一番しっくり来るような気がする。タンニンを含む植物の色で薄く染めておき,その上から目的の色を染める。五倍子が代表的らしいけど近くにまだ見つけていない。お茶とかではどうなのかな。柿渋下地と云うのも聞く。麻が何もしないでもよく染まるのは、タンニンを既に持っているからだと聞いた。

いずれにせよ、なぜ染めるのか。シミも染み。そめも染め。