おじいさんに会った日

お施餓鬼も終わった。今年のお盆の準備がひときわ忙しかったのは玄関の間に織り機一式を持ち込んでいたせいだ。家の半分を行事用にすっかり片付けるのは毎度のことだが今年はモノが増えてしかも見えないところに片付けられない大きなものばかりで苦労した。

13日忙しさと暑さでぼーっとしながら灯籠の竹を持って坂をおりる。14日は実家の父の誕生日。お盆は忙しくて、おめでとうもプレゼントも此処にきてからはほとんどなかった気がするけど、最近ちょっとギグシャグしていてすっきりしない。ちょうどいい作務衣を見つけたけど、どうしよう、、なんかわざとらしいかな。。。などと考えながらぼーっと歩いていた。

坂を降りたあたりで何かを踏んだ。「ギュッ」っと言う音と一緒に「パッシッ!」と足下を打たれた。まだ、ぼーっとしながら一歩二歩踏み出しながら「ギュッ、っとパシッって何だろう?そんなのは蛇しかないよね。。」きっと銀杏の枯れ木でも踏んだんだろうとのんきに考えながら振り向くと、80cmほども有りそうなアオダイショウ?が道の真ん中を遮って今まさに逃げようとしていた。「ごめんごめん痛かっただろうに。。」と蛇に向かって謝ったんだけどもう姿は無かった。おかしいなぁ。いつもなら足ががたがた震えるのになぜだか震えもこない。「おじいさん。。」きっとそうだ。

おじいさんは巳年だった。私はおじいさん子でいつも畳を作るおじいさんのそばで遊んでいた。おじいさんが亡くなって何年になるかな。。中学高校を出て町を出て、不思議と人生の節目節目に蛇に出会うことがあった。きっと、おじいさんが会いにきてくれたのだと思うようになっていた。それでも触るなんて論外で見ただけで少し足がすくむ生き物には変わりなかったけれど。そんな蛇を生まれて初めて思いっきりフンズケて、生まれて初めてパシッと打たれた。

「早う行け」っておじいさんからのメッセージだったのかもしれないと、自分で育てた野菜をいっぱい袋につめて、おめでとうの言葉を待っていてくれた父に会って思った。