放射線の影響~甲状腺がんと原発事故

Fukushima Voice version 2
福島原発事故後の意識の変化に向けての情報の共有化>岡山大学・津田敏秀教授 日本外国特派員協会での記者会見の動画と読み上げ原稿より

>2015年10月8日に、岡山大学の津田敏秀教授が、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を行った。米国時間の2015年10月6日午後に、国際環境疫学会(International Society for Environmental Epidemiology)が発行する医学雑誌「Epidemiology(エピデミオロジー)」に福島県民健康調査・甲状腺検査1巡目の結果を疫学的に分析した論文がオンラインで先行発表されたので、その論文の内容を説明し、質疑応答を行った。下記に、記者会見告知の和訳、記者会見動画(日本語、英語通訳)、そして会場で英語版が配布された、記者会見の読み上げ原稿の日本語原文(津田氏の許可あり)を掲載する。会見では、実際の読み上げ原稿よりも詳細な説明がされており、スライドを見せながらのミニ・レクチャーも展開されたので、ぜひ、動画の視聴をお勧めする。なお、同内容の英文記事はこちらである。

スクリーンショット 2016-03-17 20.02.03

2015100803

【津田教授記者会見津田教授記者会見原稿より 4.公衆衛生の専門家として】
http://fukushimavoice2.blogspot.jp/2015/10/blog-post.html…
提言の終わりとして、これまで福島県内では、「原発事故によるがんの多発はない」あるいは「多発があったとしても分からない」というような説明の仕方が一貫してなされてきました。このような言い方は、次の2 つの条件が両方成立することによって成り立ちます。すなわち、①100 mSv 以下の被ばくでは被ばくによるがんが(過剰)発生しない、②福島県内においては100 mSv を超える被ばくはなく100 mSv を遙かに下回る被ばくしかなかった、の2 つの条件です。これが福島県内における、現実的でコストのかからない放射線防護対策が話し合われることを、ほとんど妨げてきました。
しかし①の条件は、そもそも科学的に誤っており、今日内外の専門家はもう誰もこのようなことを言わなくなっています。そして②の条件は、2013 年のWHO の健康リスクアセスメントの推計の基礎となった2012 年のWHO の線量推計値では、原発の20 km 圏外の住民においても甲状腺等価線量は100 mSv を超えています。そして今回の分析では、WHO の健康リスクアセスメントの15 年甲状腺がんリスクを大きく上回ると思われる結果が示されました。
しかし、まだ原発事故から4 年半しか経っていないのです。放射線による甲状腺がんの発生に関する平均潜伏期間やチェルノブイリでの甲状腺がんの過剰発生の年次推移のデータを見ても、これから甲状腺がんは、これまでの10-20 倍規模で毎年発生する可能性が大きいのです。このような状況の中で、これまでの行政の説明を早く修正しないと、さらに行政への信頼は失われ、その結果、現実への対応や対策に支障を来しかねません。私どもの研究が、今後のことを考えて、行政のアナウンスや対策立案を見直すきっかけになるのではないかと考えています。このままでは、ますます不安や不信、風評被害を増幅するだけになると思います。

THE 放射能 科学は放射線の影響にどこまで迫れるのか?2016/03/14

報道ステーション 甲状腺がんと原発事故 2016/03/11

https://youtu.be/3P1WW795vY8

2016/02/04 【イントロ】岩上安身による津田敏秀・岡山大大学院教授インタビュー

第4回市民科学者国際会議:津田敏秀

20130526 UPLAN 津田敏秀「疫学的視点からみた100mSv安全論」