托鉢の人 染めの人

冬に向かうと言った方が良いほど急激に寒い朝6時。藍の衣をまとい、脚絆を締めてわらじを履き、網代笠を胸元に持ち。玄関を出たところで横向きになり一礼。11月3日までの托鉢が始まった。私は表に出て、参道を一人行く後ろ姿を見送る。足洗いのぬるま湯と手ぬぐいを用意して帰りを待つ。

朝食を済ませ、染めの段取りをする。曇りに向かう晴れ間のうちに藍の染め、最後の一色を決めねばならない。多分あと一回で、思う色になるはず。びゅーびゅーと木枯らしが吹いている。銀杏がまたたくさん落ちるだろう。