町家のお勝手

京都で一緒に仕事をした友人宅に泊めてもらう。紫竹の今宮神社の大きな鳥居をくぐり神社を取り囲むように古い町家が慎ましく肩を寄せ合って建っている。車が一台やっと通れるほどの柔らかくくねった路地に家々の焦げ茶の格子がやたらとよく似合う。かつてこの辺りは西陣の機織りを家業とした家がほとんどで、毎日織機の音が響いていたそうだ。友人の家もその土間の奥は天井まで吹き抜けた作業場になっていて昔は大きな機が二台置かれていたそうだ。西陣の織機は上に乗って紋紙を操るから天井が高い。紋紙を上で操るのが主人、その下で奥さんが織るというのを、川島織物で聞いた記憶がある。

「ご飯作ってるから」と、仕事を終えて先に帰っていた彼女から連絡があり急いで向かう。京都の台所は、玄関を入って通路のような土間に細長く作られている。通を挟んだ座敷に食卓。土間は寒くて内装を変える家がおおいけど、私は台所は土間の方がいいと思っている。しかもこの作りは動きに無駄がない。通路側に座ったお母さんはくるんと向き直って突っかけをはいて立てば流しに向かえる距離なのだから。タイルばりの流しも気に入って、制止も聞かず無理矢理写真に収めた。三代暮らした家は建てた時も古い材を使っていると聞く。ふと、磨かれた古い敷居や階段が目に留まる。角が取れ、ところどころ虫食いがあり、黒光りしている。途中で遅く帰ってきた弟さんと一緒に食事を頂く。初めてなのになにやら居心地のいい時間を過ごした。

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